先日、キャンベラに行ってきました。
シドニーからキャンベラへの行き方は、自分で運転するのでもない限り、次の方法があります。
飛行機: Qantas, Virgin といったメジャーどころが飛行機を出していて、所要時間は55分。一番速いですが、やはり料金高いし、飛行場での保安検査などがあるのが面倒です。
バス: 朝から晩まで、ほぼ一時間おきに高速バスが出ています。
値段も一番安く、所要時間も3時間半程度なので、これが一般庶民には一番無難な選択だと思います。
…そして一番マイナーな行き方の、鉄道。今回はこれを使いましたので、その旅について書いてみます。
概要
オーストラリア随一の大都市であるシドニーと、首都キャンベラを結ぶ鉄道…まあ、日本で言えば東京ー大阪みたいなもんですわ(距離的には、東京ー名古屋かな?)。
そんな大動脈を結ぶ列車の頻度ですが…。
一日…。
さんぼん、
です!
そう、3本だけ!
いやはや、鉄道、人気ねえなあ…。このなんというか、ユルさはこの後にも色々出てきますのでお楽しみに。
切符の買い方
さて、この列車は一応特急列車のような扱いなので、全席指定。ということは、事前に予約をしたほうが絶対によいです。
予約方法ですが、Town Hall, Central といった大きな駅なら直接買えそうですが、はてそんな場所どこにあるんだろう…と思うくらいなので、もうこれはウェブサイトから買うのが一番便利です。
僕が買った切符の値段は、片道で$50.84でした。これは間際に買ったせいか、週末だったのかは分かりませんが普段はもう少し安いです。
通常料金は今見ると $40.67で、Saverという早割のようなものですと、$33.89 でした。ディスカウントされた値段だと、実はバスとほとんど同じか、かえって安いかも。
キャンベラまでは300キロほどの距離なので、座席指定の特急列車でこの値段は、けっこうお値打ちなのでは。
ウェブサイトで予約すると、こんなEチケットが添付された確認メールが来ますので、大事に保管するなり、印刷するなりしておいて下さい。

乗車前
キャンベラに行く列車は、シドニーセントラル駅からの発車です。
だいたい、2-3番線といった、長距離列車向けのプラットフォームから出ますが、キャンベラ以外にもNSW州のあちこちに行く長距離列車が出ていますので、掲示板で確認を!
全席指定なのでそんなに早く行く必要もありません。15分くらい前に行っておけば大丈夫でしょう。
列車は、こんな感じです。ステンレスのボディーに水色の帯が巻かれ、無骨ながらもスマートなデザイン。

編成ですが、え、これだけ?と思ってしまう長さで、なんと3両編成です(たまに4両にもなるようですが、見たことない)。
そしてこの車輌、僕がこちらに来たときからずっと変わってないな…と思いましたが、その通りで、1993年から使用されているそうです。
え、ってことは来年には30歳になるのか~!ちょっと、大事に使いすぎなのでは…?と不安になりますが、まあ乗車してみましょう。
車両
さて、乗車してみましょう!

いくら年季の入った車輌とはいえ、車内は日本の特急列車のようなつくりです。車輌の端には大型荷物が置けるラックもあるし、座席の上には荷棚もあります。
座席は通路を挟んで2列+2列となっていてリクライニングもできるし、フットレスト、テーブルもあるので長旅向けとはなっています。
前の座席ともかなり間隔はあるので、きゅうくつに感じるようなことはないかと思います。
ただ…さすがに古い車両なので、電源がない!途中でスマホやラップトップのバッテリーが切れることもありえるので、その対策は必要かも。
ファーストクラスもあるのですが、まあエコノミーで充分じゃないですかねえ。
検札
さて、列車は予想に反して(オーストラリアですから)定刻通りに発車。
長距離列車の出発というのは、やはり旅情が高まる…。
出発してしばらくするとアテンダントが検札に来ますが、切符は印刷してなくても大丈夫で、スマホに入っていたEチケットを見せれば大丈夫でした。
しかも帰りの列車では、そのチェックすらなく、名前の確認だけ。そこらへんは、さすがオーストラリアの列車、ユルいなあと感心しましたね。
車内サービス
さて、列車は定刻通りセントラル駅を出発。始めはシドニー近郊エリアを走るので、他の電車に行く手を阻まれたりでゆっくりと走ってますが、30分ほど走ってだんだん人家がバラけてくると、エンジン音を上げて結構なスピードで走り始めます。
…今「エンジン音」と書きましたが、そう、この列車、ディーゼルカーなんですよね。つまり、気動車。
というのも、シドニーから1時間ほど走ると電化区間が終わってしまうので、それ以降は「電車」は走れないんですよ。
まあそれはおいといて、この列車には、食堂車…ではないですが、飲食物を売る車輌が併結されています。
乗ってからしばらくすると、アナウンスが入ります。ちょっとこれが初めて乗る人にはわかりにくいと思いますが、ちゃんとした「お食事(Hot Meal)」を食べたい場合は、多分準備と在庫の関係上、注文制になります。このアナウンスで、今日の定食メニューが案内され、しばらくすると係員が注文を取りに車内を回ります。
メニューは大体、肉料理が2種類、ベジタリアンが1種類、みたいです。
で、オーダーするとこんな切符をくれます。

で、1時間ほどすると「できたよ~」というアナウンスが入るので、この切符を持って食べ物をピックアップし、支払いを済ませます。
その際に飲み物を買うこともできます。お昼以降なら、ビールやワインも購入可。食べ物の値段は、確か$10ほどだったかな(ビールも買ったので正確な値段を忘れてしまった)?

食事のクオリティは、そうですね~。
こちらのスーパーでよく売っている、電子レンジで調理して食べるインスタントミールと似た感じです。なのでそれなりに食べられますが、すごく美味しい、というわけでもありません。まあでも、ビールが買えたからよしとしよう…。
定食以外には、ミートパイ、ソーセージロールといった軽食も売っています。自分の食べ物を持ち込むのは可能ですが、アルコール類の持ち込みは不可なのでご注意を。
次回は、乗車する前にどこかでおいしい食べ物をゲットして、車内では飲み物を買うくらいでいいかな、と思いました。
車窓その他
さて、1時間ほど走ると、さしものシドニー大都市圏も終わり、だだっ広いオーストラリアらしい景色が広がってきます。
それでも、だいたい30-1時間に一回くらいの割合で、小さな町が現れ、時折停車をします。
Goulburnというシドニーとキャンベラの間にあるそれなりに大きな町では、乗降客もけっこういました。
そうか、このような小さな町に住んでいる人にとっては、鉄道は大事な手段なんですよね。
飛行機はもちろん、シドニーからの高速バスもノンストップでキャンベラまで行きますから。
それなりに「ひらけた」エリアを走っているので、畑があったり牧草地だったり、牧畜してたりと、全く何もない場所というのはあまり走りません。
でも、こんな景色を車窓から見ると、やはりオーストラリアはでけえなあ、と実感します。

シドニーからだと、キャンベラに着く少し前は今までのフラットな土地から急に車窓が渓谷に変わり、オーストラリアではちょっと珍しく蛇行する川の上の崖沿いを走るエリアがあって、そこがとても印象的でした。
ただですね、携帯の電波が「圏外」になるエリアも結構あったので、「まあ長旅だけどケータイでも見てりゃあいいよなあ…」と油断してる人は何もできなくなる、という非常事態におちいる可能性もあるのでその対策は必要です。しかもさきほど触れたように、座席に電源がないので手持ちの機器がローバッテリーになる可能性も大きいです。
それから車内ですが、週末だったせいか満席。どうせそんなに混んでないだろ…と思っていたので意外でした。
コロナ禍で、すし詰めで一度乗ったら身動きもあまりできない、という高速バスを敬遠する人も増えたのかなあ、とも思いました。
キャンベラ駅
さて、列車はキャンベラ駅に到着。さすがに4時間の旅は長いなあ、と正直思いますが。
途中単線の区間もあるので、だいたい若干の遅延は起こります。
(オーストラリアの鉄道のくせに、たかだか7分ほどの遅延でお詫びのアナウンスをしたのには吹いてしまった…日本じゃないんだから)
さて、そのキャンベラ駅ですが…これです。

一面一線のめちゃくちゃシンプルな駅、すごくありません?キャンベラは街の規模は小さいけど、それでも首都なのになあ…。

ひなびた、という表現がぴったりなこの駅、知らない人がこの駅で放り出されたら途方に暮れると思います。
この駅の場所がキャンベラの町外れ(というか住宅地)にある、Kingstonというエリアなので余計そう感じるのでしょうが、もう少し町の近くまで延伸しようというとか考えなかったのかなあ…まあ、1日3本ではそんな事してもしょうがないしねえ。
町の中心部までは、タクシーやUberなどで$20ほどかかるので、これも高速バスに比べると不利な点ですね。バスも走っているようですが、そもそもキャンベラはあまり公共交通機関が発達していないので、あまり期待しないほうがよさそうです。
まとめ
さて、鉄道を使うメリットはこんな感じになると思います。
- そんなに急ぎの旅でもない
- スペースが必要
- ケータイがなくても長時間しのげる
- 途中の景色を楽しみたい
- 旅しながら飲みたい
- テツ分が高めである
良くも悪くものんびりとした雰囲気の鉄道の旅。
のんびりと車窓を見ながら、ちびちびとビールを飲むのも悪くないですよ。
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